日記:形成外科と皮膚科のあいだぐらい

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2023年ぶりに筆をとろうとおもう

私は話すことが好きだ。でも、それ以外の表現があまりに苦手すぎて、このブログに至っては「書く練習のため」と思って始めたものの1年以上も間をあけてしまった。

誰かのためになりたいと思って書こうと思えば思うほど、知ってほしい情報が膨大すぎて考えるだけで疲れてしまっていた。推敲をせねば、こんな文章では読みにくいのでは、なんて考えていたら1記事に24時間以上かけてしまい、次の投稿にむけての足が遠のいていた。

これをなんとかしようと思う。今年は私が思うことや近況を、制限時間3時間でつらつらと書く。

さて、これの前の投稿が2023年末である。

そもそもこの人は何をしているのか、という人に向けて少し書いておく。

自己紹介

日本とオーストラリアで看護師の資格を持っています。

月に数回、病院の周術期(術直前直後)で働いています。

BrisbaneとGold Coastのクリニックで週に数日ずつ美容医療の施術をしています。
日本とちがってオーストラリアは、看護師もヒアルロン酸、ボトックス治療を行います。さらに私はGraduate Diplomaといって、Cosmetic Medicine専門の(大学院一年相当)学位を終了しています。

レーザーのライセンスを持っているのでレーザーおよびIPL機器を使った皮膚の赤み、キズ治療、シミ治療等も行います。ピーリング、Microneedling(日本だとダーマペンとかいうのかな)等、皮膚をきれいにしていく施術も全般的にできます。

こんなものだろうか。夜はブリスベンCBD周辺のバスケの審判とプレーヤーをしている。

気が向いたら日英の医療通訳を電話で受けている。

「あなたの専門は」

医療・看護を志して早16年目。主に救急か外科(と消化器内科・腎臓内科)でずっと過ごしてきた。昔の記憶がきっかけで、専門を決めた。領域としては「形成外科と皮膚科の間ぐらい」と言っている。Cosmetic Medicine要素が多分に入るのだけど、上記の両方を勉強していく。

レーザーの仕事が見つからなかった4か月

さて、Graduate Diplomaを修了したのは昨年の8月。卒業証書とライセンス取得が10月。それ以降、レーザー機器を使いたくて鬼のように仕事にアプライし続けていたものの、どうしてもうまくいかなかった。時期的なものも多分にあったと思う。でも最初の一歩を踏み出さないと前には進めない。

そこで、COSMETIC NURSE CLUBというオーストラリアの美容医療で働くRNだけが参加できるグループに下記のような投稿をした。

「とにかく進みあぐねていて、もう一回立ち上がって頑張るから、背中を押してほしい。」そんな気持ちで書いた。大量のコメントをいただいた。ここで看護師の一人が私のCV(履歴書)を雇用主に渡し、面接にこぎつけ今に至る。実はCVを渡してくれた彼女以外にも複数の経営者の目にとまり、様々なクリニックとかかわるご縁もいただいた。

本当は形成外科または皮膚科専門医のもとで働くのが第一希望だった。しかし「道は続くから、スタート地点が希望通りでなくてもいっか」と思っている。スキルも知識も、求めればどの場所にいても得られるから。

ゴールドコーストのクリニックは、レーザー機器が豊富にある。痩身の機械もあるのでこれから思う存分触らせていただく。こちらとは今年の2月に契約を結んだところで、今せっせとすべての提携企業様からトレーニングと承認を受けている。こんな感じで。寝ているのは同じくInjectorのダニー。

(Laser Safety Officerとして一言いっておくとこの部屋でレーザー施術を行うなら鏡などの反射物は外すか覆うかしないといけない。ちなみにこれはRFと針を組み合わせた機械のトレーニングなのでセーフ)

ブリスベンのクリニック

ブリスベンのクリニックは注射、スキンケア系のフェイシャル施術を主にしている。

開院のオープニングスタッフとして2024年の7月から働いている。それまではパース、ブリスベン、メルボルン、インドネシアのバリ島、ゴールドコーストで医者のもとでずっとトレーニングとして飛び回って施術をしていた。こちらは管理職(いわゆるManager/NUM)みたいな立場の人はおらず、スタッフのみでまわしている。・・・・は実質無理なので、おのずと誰かひとりがクリニックを代表して各企業、経営者とやり取りをし、さらには渉外担当として働くことになる。というか自然とそうなっていった。私だ。

オーナーは医者で、パースにいる。資材管理、冷蔵庫や印刷機の購入、マーケティング、データ収集、次のプロモーション提案・実行まで全て私がしている。S4(注射剤)と化粧品以外の施術の値段設定も私がした。人の金で経営をさせてもらっている気分である。決して楽しくない、というかむしろ苦しい。

始めた当初から、私は自分の定めた専門分野を極めることに命をかけている。私の分野は、ひと様の顔に触れて、時として形を変えて皮膚(見た目)に直に関わる。日夜勉強して技術を磨き上げれば、患者さんは誰かがつれてくると思っていた。病院では患者さんに「きてね!」なんて言わなくても勝手にくる。大学→病院上がりの私は売上も会計も広告も、呼び込みの必要性すらも考えたことがなかった。

経営にかかわりたいなんて一言も言っていない。むしろやりたくない。けれども一度乗り掛かった舟である。甘ったれたことを言っていられない。頭をフル回転させて考えてきがつく。「私には経営の知識が一切ない」・・・あたりまえだ。そこで本を数冊買って読んだ。Before/afterの写真が有効、と書いてあった。ではそうするか。

そこでさらに気が付く。いい写真の撮り方とは?「盛る」のではなく、ありのままを、レンズの遠近で顔のパーツゆがまない写真を撮る方法を知らない。比較をするのだから、光の当たり方、角度が同じでないといけない。これらをClinical photo という。論文を調べて読んだ。「形成外科にいたら当たり前に習ったことなのかな」「何してるんだろう自分」なんて思ったりして、一人クリニックの中で少し泣いた。この程度の情報も掘り起こさないと出てこないなんて。・・・といつまでも嘆いていられない。翌週、Canonのカメラを買った。背景のカーテンも買った。

今も完全なClinical Photoの撮影をめざしてまだ試行錯誤中である。

誰か偶然これを読んで指南してくれる人がいたらXかInstagramからDMください

明後日空港で待ち時間があるから、その時にさらに論文を探そうと思う。

西の経営者Andrewに激詰めされる

さて経営の話に戻る。先週、パースのクリニック2つの共同オーナーをしているAndrewがクリニックにきた。厳しく指導された。言っていることがごもっともすぎる。あれもこれもできていない。

私は病院での勤務に関しては徹底的にトレーニングを受けている。でも、クリニックの箱だけ与えられて右も左もないところに放りこまれて何を知らないのかも自分で探すしかない日々で、そもそも自分は「RN」として雇用契約を結んだわけで、一体自分は何の指摘を受けているのか。・・・と我に返ったときにはもう限界だった。

「知らねえよわたしゃ医療畑の看護師だよお門違いだろって言いたいよ」とは言った。「私の仕事ではないので」この一言ですべて突っぱねられることも知っている。でも突っぱねたところで、クリニックに利点はない。患者さんが来なければ、私の覚悟も勉強も、毎月最低2回はどこかに出かけて受けているスキルアップトレーニングも無駄である。何も前に進まない。悔しい。ぐいっと涙を拭いて、「さ、話の続きをしよう」と前を向いたら、Andrewにぐいっと抱きしめられた。

・・・安心してほしい、ロマンス的な何かはない。彼はゲイだ。あと多分オネエでもある。抱きしめ方は格闘技の関節ワザに近かった。

「あんたはよくやってるよ」と言われた。「だろうよ今度オーナーが来たら尻けっ飛ばすあと給料上げろって言う」と恨み言を返した。

注釈:私を指名してくれている人が偶然読んでいることを想定して書いておくと、施術は常にスキルアップのトレーニングと医者による評価を受け続けております。「何が分からないのかわからない」のは経営および管理のことです。誤解を生みたくないからあえてはっきり書きます。そういう今日もサイクロン警報の中レーザー機器のCuteraさんからトレーニングを受けておりました。これからも何度も受けます。

自分の専門を美容医療と呼びたくない vs 本当は堂々と胸を張りたい葛藤

そんな中、1か月前にはご遺体の写真に顔文字「Thank you!」だったかな、そんなものを貼っつけてSNSに投稿した美容外科医が炎上して、さらに最近は麻酔科専門医が全身麻酔か鎮静で寝ている患者さんのレーザー施術を、何のモニターもつけずゴーグル(目の保護)もせずに行っている動画を投稿して炎上している。美容医療となると一気に水準が低くなるのか。同じ機械を扱うものとして、同じ領域で頑張ろうとしていることが恥ずかしくなったと同時に憤りを感じた。

顔は時として人生を変える。レーザーは目の保護をしていないと、一発の誤照射で失明させるだけの力がある。神経に触れれば、一生痛みが残る。表情に影響が出る。見た目至上主義を肯定しているんじゃない。顔をさわるってことはそれほど大ごとなのよ。こんな世界のすみっこにいる私ですら知ってる当たり前をなぜ知らない。なぜ勉強しなかった。赤っ恥どころかこんなの、バカにしてくださいって言ってるようなもんじゃないか。

調べろよ、知識がないなら求めなよ。専門医とったときと同じ熱量で勉強してよ。あんたを信じて体を預けた、そこに映ってる患者さんに真摯に向き合いなよ。医療者だろ、プロだろ。自分も患者さんも救うのは知識だろ見栄えじゃないだろ目ぇ覚ませ。・・・そんなことを深夜に思って、「自分は自分の道だけを見つめてまっすぐ歩こう」と思い直す。

疲れているときは気が立っているので怒りがわきやすい、と何かで読んだ気がする。きっとそうだろうな。でも、そうじゃなくてもこの怒る気持ちは多分まちがっていない。私は、厚労省とAHPRAに登録された看護師で、こんなふざけたことをしている医療者を見て何も思わないような育てられ方をしていないのだと思う。

大変なことばっかり書いたけど嬉しいこともたくさんあるよ

最後に、「このひとやば・・」と思われたくないので、こんなに頭を抱えて論文を抱えて歩きながらベッドで本と論文を枕代わりにして寝て過ごした結果、例のブリスベンのクリニックが今どうなっているかを書いておく。いわば、ビジネスの一番最初の部分からの成長を、中の人として実感しているわけで、とても貴重だと思う。最初の半年は患者さんが少しずつしか来なかった。今は8か月目。

実は、数日後に日本に飛ぶ。次の私の予約枠は1か月後だ。今までは翌月なんて真っ白だった。

それなのに、私指名の方、私指名の新規予約の方(既存の患者さんたちの紹介)で4月がすでに埋まり始めている。今日も、家にいてシステムを眺めていたら私の名前指定で「1か月待ってもいいから」と予約をいただいた。なんてこった。ありがとうございます、ありがとうございます。ブリスベンのクリニックがあるエリアはコミュニティ内の結束がかなり強く、永住者・国民が多い(7割)ので住居者の出入りが少ない。噂は、良くも悪くも広がる。

私は持ち物がとても多い。でも、自分を信じて施術を受けに来てくれる患者さんにできることは、できる限りの安全措置とバックアップを用意することだと思う。

0.01㎜まで正確に測るノギスを持ち歩いている。相当に珍しい。数あるInjectorの中で多分いらないという人がほとんどだと思う。でも記録のために全部測っておきたいから買ってきた。日本の富山県で特注で手作りしてもらった筋肉の取り外しが可能な模型を持ち歩いているのもかなり変わっていると自覚している。値段は確か6万円ぐらい。あと国際輸送費。

さらについ先日、10万円弱するThermal camera(赤外線カメラ)を自腹で購入したところだ。Teoxane社主催の合併症への対処法についての勉強会でイギリスのドクターが「非常に有用」って言ってたから。本当は超音波がいいけど、個人で買えるものではないのとクリニックを行き来するのにあまりに非現実的なのでやめた。

もっと精度が高くて安全な施術を行えるように、これからも勉強していきます。

これからの目標

ひと段落付いたら、皮膚科の知識を深めたい。レーザーはいわゆる「いぼ」や、にきび、port wine stain(生まれつきの母斑)、傷あと治療も扱うから。にきびやいぼに至っては皮膚科である。wound care/healingについても学びたい。傷痕にならないようなケアができれば、そもそもレーザーなんていらないから。・・・はたしてこれは形成外科か皮膚科か。

あとはInstagramやFBの投稿への心理的バリアをなくしていきたい。とにかく苦手なのだ。自分がやっていることを見せるのがとても恥ずかしい。あと、見せられるほど美しくやっていないのよ、ひとつひとつに全身全霊でいどむから所作も立ち方もへったくれもない。上から下から眺めて、計算して、確認に確認を重ねて・・・。どの場面をとっても怪しいと思う。

そうは言っていられないので、なんとか投稿を始めたいと思う。

扉のむこうがわの一部風景

「SNSにあげていいよ♡」と言ってくれたお客さんの一人のフェイシャルをここに載せておく。きっちりしたビフォーの写真はちゃんと背景を統一して撮ってあるものの、SNS用にと思ってせっせとベッドにいる患者さんを四方八方から撮ってみたらこのありさまだった。光の調整も角度も全部違うじゃないか。カメラマン(私)としては大失敗。それでも、見てわかると思う。左がビフォー、右がアフター。これがうちのフェイシャル。今週私が施術した患者さんです。これで$150。

ブログ見ました!って言ってくれたら割引するね。

セットで予約してくれたらもっと割引するね。とりあえず感じてください。

「一回で効果はないんですか?」ってよく聞かれる。

えっと、例えば「シミをなくしたい」っていう思いを胸に秘めていて「一発で(シミが消える)効果はないですか?」と聞かれれば、「非常に難しい」となる。でも、過剰なKeratinをピーリングで一定にしたあとに角質を保湿することで肌のトーンが均一になる。この意味では「一回の施術」で見た目や触感に変化はみられる。

でも、施術の本当の目的は真皮層の細胞活性。シミやしわへの効果、アンチエイジングは真皮層とEpidermisの下層部分が最も大切。で、このへんの細胞さんたちに効かせている効果がすぐには目に見えないんよな。これが本当に効かせたい部分=私がみている「効果」だから、口ごもる。

長くなったので最近のまとめ日記はこの辺にしておく。

いかん書きはじめて4時間超えそう。また書くことに挑戦しようと思う。

読んでくれてありがとうございます。

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