日記:「ワーホリ中に恋愛して永住権ゲットします!」という人と話したこと

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ワーホリで「運命の人」を見つけに来た人の話をしようと思う。

「外国人」と恋愛をしにきたという。「ここオーストラリアではうちらが外国人やで。」は余計な一言なので言わなかった。

素敵だと思う。ワーホリ中に出会って、そして恋愛を経て結婚。これを目指してはるばる国を越えてきちゃうんだから、その行動力にまず敬意を。「まずは周りをみてから・・・」とかいって右に倣えな人ばっかりの中で飛び出す勇気があるのがすごい。

まっすぐ現実を見据えたうえで実現にむけて動け

「本気なら、本気ならね、しっかり足元見らんとね」と言って話したことをここに書いておく。「外国人と結婚して海外に永住権」を夢見ている、偶然これを見た誰かにも刺さると思う。

注意書き

先に書いておく。私は言葉選びが苦手で、しばしば強い表現を使う。けれど性格が悪いわけじゃない。この記事も誰かを傷つけようと思って書いていない。それほど暇でもない。ただ、同じ道を目指す人の目に留まったとして、本気なら覚悟してかかるべきことがいくつかあるで、と諭すつもりで一部は医療職として書いていく。

あなたの夢に水を差すようで嫌な気持ちになるかもしれないが、現実とはお花畑ではないのである。そのつもりで、知っていてほしい落とし穴を書いていく。すべて含めて腹をくくって目指すんやで。

落とし穴①英語は話せるかい

この国で生きていくつもりなら、英語は何不自由なく話せるようになる覚悟を持とう。それはなぜか。

あなたが日本で働いていて、誰かと出会ったとする。そうだな、私はベトナムが好きだからベトナム人にしようか。日本語がほとんど話せないベトナム人と恋愛することになった。日本語が不自由なので、制度の理解も子育て教室も診察もすべて何もかもあなたがすることになる。どこに行くにしてもあなたがついていってサポートをする。右も左もわからないからね、ドラストでさえついていって商品を見てあげないといけないね。仕事は・・・日本国内で何にありつけるだろうか。そんな人と、恋愛まではしても結婚を考えるだろうか。

では、舞台をオーストラリアにもってこよう。まさしくこの「日本にいるベトナム人」と同じことをあなたはしようとしている。英語をまともに話さないまま恋愛をしようとして結婚までこぎつける、というのはそういうことである。

「この国の第一言語を話せない」ーまともな思考の持ち主なら、それが何を意味するかぐらいは分かっているはず。そう、このままでは将来的にあなたは「稼げる仕事にありつけない=(例外を除いて)経済的弱者になることが決まっている」人間なので、オーストラリア人のみが稼ぎ頭になることが予想される。「関係ないもん!」「私の俺のパートナーは違う、本当に私・俺のことが好きだから」ーそれはそうだろう。だが、スポンサーをする側からしたら、背負うことになる現実はとてつもなく重い。それを相手はきちんと考えられる人間なのか、ということを問うている。

お互い見切り発車は、「若さの象徴♡ロマンチックでいいわね♡」かもしれない。が、実際は互いに前が見えていない状態なので非常に危ない。彼・彼女におんぶにだっこ状態で平気な思考も危ない。・・・危ないだけで「ダメだ」とは言ってない。そういう日本人はオーストラリアにたくさんいて幸せに暮らしている。しかし、それと同じかそれ以上の(日本人に限らず)移民たちが、これから述べるとんでもない目に遭っているのも事実だ。

落とし穴②DV被害者になるリスクが非常に高い

この国の第一言語を話さない=社会的に不利益を被るリスクが上がる。この状態の人をこの記事内でのみ「社会的弱者」と勝手に名づけることとする。

そんな社会的弱者になる人間を好いて離さないタイプの人がいるので「医療者として」書いておく。一言でいうと「あなたを支配できると目論んでいるトキシックな人間」である。「coercive control」という文字をググってみてほしい。きっと大量に出てくる。

「そんな人ばっかりじゃない!」と即反論したくなるだろう。「私に俺に魅力があったから、相手は自分に惚れたの!」その通りだろう。それでもこの「落とし穴」はでかいので知っておく価値がある。

「君みたいなおとなしい・ヤマトナデシコな女性ははじめて」

「日本人って○○だよね、だから好き」「日本人と付き合ってみたかった、日本人が好き」

「料理ができる君最高、ずっとそばにいてほしい」

このへんが軽いイエローフラグだと思う。最初の二つは固定概念・偏見(ステレオタイプ)の押し付けである。なぜ「おとなしい」から好かれるのか。なぜ「日本人」とひとくくりにして話をしている。目の前にいるのは、ほかの誰でもない「あなた」なのに。

三つ目は、こいつは料理をしてくれる人を、もっというと家政婦または母親がわりとしてあなたを見ている。「まさに自分の彼・彼女です!」という人へ。その人は家事はできるかい。経験上できない人が多い。発言自体はおそらく無意識だろう。精神的に未熟なだけで悪意はない。だからさらにタチが悪い。精神的な依存先(機嫌が悪いときの心のサンドバック)にされる可能性も視野に入れておこう。

酒を飲むととたんに態度が変わる人。これはもうダメだ。声がでかくなり、あなたを怒鳴る人。あなたの意見を頭ごなしに否定してくる人、Fワードやcurse word (例: idiot, bitch, assholeなど)をあなたにいう人、感情のコントロールが効かずに物を壊したりする人。それでも酒をやめられない人。

私の何人かの知り合いのパートナーがこのタイプだ。X上にいる。あなたの悪口を言っているわけではないから怒らないでほしい。あなたの「パートナーがおこす行動」を事実として書いている。あなたとパートナーは別人だ。

一般読者へ。この状況が理想的かどうかは言わずもがなだろう。

「でも普段は優しいから」「うちはそこまでひどくない」ここまでがセットである。

これは実際にとある掲示板に投稿された内容である。(脚色済)

みなさま

いつも大変お世話になっております。現在、彼の実家が○○にあるため、別の州から移動してきて〇年ぐらいたちました。彼はオーストラリア人でとても甘やかされて育ってきたこともありとても子供っぽく、こちらにきてからはとても大変な生活が続いています。さらに彼の母やからの差別的言動が多く、直接ひどいことも言われ、相談する友人もいないため困っています。

話がそれますが、とても大切なものが彼の実家にあり、1年ほど前から取りに行きたいと彼にお願いしているのですが一向に行かせてもらえません。一度二か月前にとりに行った際、彼から別れたくないといわれ、車のカギと財布携帯を取られ、半分監禁状態で彼の実家に泊まらされたことがありそれ以来怖くて行けていません。ですが荷物欲しさに今も少し連絡を取り合っています。

落ちた穴は深い:DVと洗脳はセット

あなたは、どこまで許せるだろうか。その線引きを先に決めておくといい。付き合い始めて上記のような言動が日常のように繰り返されると、しだいにこれが「普通なんだ」と思い始めてしまう。日常と非日常、通常と異常の区別がつかなくなる。あるいは「私が怒らせた」等の自責に陥ってしまったり、気がついた時には現実の認識がゆがんでいることが多い。それに、二度とかえってこない「時間と気持ち」を費やしたという事実が、あなたの意思決定に影響を与えてさらに離れがたくなってしまう。

落とし穴③家庭内でも弱者になりやすい

パワーバランスという言葉を知っているか。読んで字のごとく、ある特定の人間どうしのあいだでの力関係のことだ。「経済的に相手に依存するつもりでいる人」は特に日本人女性に多い。「俺が働くから専業主婦になって♡って言われました!」は私は反対である。

まず自分が欲しいものを購入するとき、出かけたいとき、相手の「許可」を得る必要が出てくる(実例を後述する)。

その時点ですでに相手が優位であることが分かるだろうか。また、いざというときに「でもお金どうしよう」が先に頭に浮かぶだろう。よって即行動できない。交流関係が非常に狭まるので誰にも話せない状況が長引く。さらに誰の目にも触れないため気付かれにくい。この異国の地で、「そんなことは起こらない」というプランに全ベットするつもりなら、考え直したほうがいい。私ならそんな浅はかな計画に身投げはしない。いざというときに金は力になる。自分の身は自分で守りたいなら、リカバリー策としてお金を稼げることは重要だ。

今、あなたが例えば最低時給の20ドル前半ぐらいのお仕事についているとする。もし本格的にこの国で生きていくつもりなら、そのままではいけないよ。ワーホリをしている人に物申しているわけではない。二度言うが、この国に「根をおろして定住する予定がある」なら、そんな激安賃金で定まるんじゃない。きっちり自分の時給を上げていくよう今から計画を立てるんだ。仕事は何でもいい、自分でビジネスを始めるでもいい。とにかく自らの足で経済的に自立していく道を探り始めよう。

落とし穴④「ハーグ条約」を調べておけ

「ハーグ条約」を知っているか。パートナーからの承諾が得られない限り、16歳未満の子供は国外に連れ出せない。つまり、あなたとパートナーの間に子供が生まれたらさらにややこしくなる。強い言葉をあえて使う。あなた自身に首輪がつくと思っていい。あなたの相手は、ちゃんと論理的思考ができる人間か。話して通じる人間なのか。子供を鎖かわりにして、あなたとつながりを持とうとする人間がいる。そこらじゅうにいる。

参考記事

でっち上げの「夢物語」なんかじゃない

なぜ私がこれを知っているか。私の病院はオペの専門病院である。DVの被害にあった人も相当数いる。それでも私たちがいる病院までこぎつけた人達は、地獄のような状況から抜け出せたほんの一握りであることも言っておく。

あなたに相談する先はあるか。逃げる先はあるか。・・・ない場合がほとんどである。なぜならば、あなたにはその制度を知るための情報を読むすべ(英語読解力)がないから。助けを求めたとして、英語が話せないからうまく説明できない。精神的に疲弊しきっているだろうことも加えておく。

そのような状況に陥らないことを前提に無策で「恋愛」に飛び込むのか。「私は俺はそうならないから大丈夫」と一体どこの誰が言えるだろう。あなたはこの国の人のことを一体どれだけ知ってそんなことを思うのか。ここまで読んで、まだ目を背けるつもりか。

私の友人にDV被害者が多数いる

私がパートナービザについて書く理由を述べておく。私の知り合いに、DV被害者が多数いるのだ。半分は本人たちがそうと認識していない。DVは決して肉体的な暴力だけではない上に、抜け出しにくく見つかりにくい。二人ほど、例を書いておく。

私が住む都市に、小学校来の友人が結婚して住んでいる。彼女を知る人間もいると思うので、個人が特定されない範囲で書く。

彼女の夫は、いわゆる「愛の束縛」が激しいやつだ。こう書くとかわいく見えるだろう。

その夫と彼女(友人)は、彼女が男性がいる集まりに行こうとすると必ず口論になっていた。彼女は車を持たない。彼女は、英語が苦手である。日本の企業に在宅で勤めているので、彼とともに買い物に行く以外に家から出ることはほとんどない。豪ドルはすべて彼の稼ぎから出ている。出かけるにしても「お願い」をしないといけない。

私は何度も話した。その関係は異常だ、彼の精神的未熟さゆえの行動にあなたが甘んじる必要も我慢する必要もないと言い続けた。彼女は一人で好きな国に出かけるほど自由で活発な人だった。スポーツが大好きだった。4年経った。彼女にはもう、友達といえる人間がほとんどいない。交友関係を制限され続けて、抵抗する気もなくなったようだ。バスケに連れ出そうとした。シューズも服も貸す、車も出すといった。それからさらに2年経った。連絡が途絶えてしまった。

「私は近しい友人一人さえ助けられないのか」と自分を責めた。でも、どこまでいっても私は「部外者」なのだ。「彼、いつもは優しいしいい人だから」「いうほどそんなに悪くない人なんだよ、悪い男がいるかもって、心配してくれてるだけだから」が口癖だった。束縛をし、行動制限をし続けて彼女の好きなものをすべて取り上げた男の行動原理が「やさしさゆえ」で片づけられてたまるか、と今でも思っている。

さらにもう一人。彼女は私の大学来の友人である。もし彼女本人がこれを読んだとして、これはあくまであなたではなく「夫」の話である。常に言っている通り、その夫のことを私が今までもこれからも好きになることはない。あなたが許しても、こいつが過去あなたにした仕打ちを私は許さない。

その現夫が私の友人と付き合っていた当時。彼女に隠して元嫁と薬物を使って性行為をしていた。その元嫁が、友人が住む家に怒鳴り込み「私は何を使ってでもお前の彼氏(元夫)を取り返してやる、この体を使ってでも」と宣戦布告。それに飽き足らず彼は家でさらに違法な薬を使って目がガンギマリ、上記の行動も繰り返していた。話し合いの場で「君の英語力がないから僕が言ったことを誤解したんだ(belittling/ gaslighting)」「こんなことをするのは君を傷つけないためだよ (manipulating)、元嫁は大事じゃないからこんなこともできる」等を連発して彼女を泣かせていた。それから数年たち、二人のあいだ子どもが生まれて今に至る。彼女曰く、この夫は「かなり改善した」という。

私はこの男(夫)が嫌いだ。それでも、彼女のことは大好きだ。自立した女性として、尊敬している。彼女は強い。オーストラリアでしっかりした職ももっているので、いざというときに一人で生きていける力がある。自分にできることは、彼女が下した決断をサポートするのみ。もし助けが必要なら、いつでも駆けつける。

まとめ:永住権「パートナービザ」で生きていく条件

ビジネスレベルの英会話は絶対条件

パワーバランスが必ず崩れる、と警鐘を鳴らす理由は分かっていただけただろうか。恋愛は対等であってはじめて成立する。でなければ、けんかのひとつもできない。これぐらいならかわいいが、はっきり書くと「あなたと相手の間に支配関係をつくるんじゃないよ」と言っている。先述の通り、言葉が話せないことはとんでもなく危機的なのだ。

子供が欲しい場合、最低時給$40以上の仕事にありつくこと(最終的に)

本当は時給$40じゃ足りない。日本円でいくら、と考える人がいて「そんなに!?大げさな」という人がいるがここはオーストラリアだ目をそらすんじゃない。ハーグ条約がある以上、安易に子を日本に連れていけない、つまりあなたもこの国から簡単には出られない。だからこの国で稼いで生きていく覚悟が必要だ。オーストラリアは物価が非常に高い。$40で買えるものなんてたかがしれている。貧乏生活が嫌なら、今から計画を立てるんだ。外国で生きることはサバイバルに近い。「お金がすべてじゃないから」という人も出てくるだろう、それはその通り。でも金がなければ生活ができない。

子供にギリギリの生活をさせるつもりか。教育は。住む環境は。食べ物は、着るものは。ギリギリの生活を想定して、あるいは無策で人生設計をするんじゃない。

精神的にも経済的にも自立していること

上の部分とややかぶるが、あなたは精神的に成熟しているか。経済的に自立する覚悟はあるか。

自己肯定感は自分でちゃんと育てているか。承認欲求を他人に満たしてもらわないと我慢できないような人間でなはいか。嫉妬深くはないか。誰かを見たときにうらやましいではなく「ずるい」と思うような人間でなはいか。精神的に不安定になって家族や近しい人に当たり散らかす傾向はないか。このへんがクリアできていない場合、同じような未熟な、もっというとトキシックな人間に惹かれる傾向がある。見抜けないどころの話ではない。精神的に依存する傾向があればあるほど、この現象がおこるリスクは上がる。

また、人は時とともに性格も考え方も変わる。もし相手とやっていけなくなった場合、別れるにはそれなりの決断力と経済的がいる。それを身に着ける覚悟はあるか。「口にしない」「我慢する」「空気読む」は日本では美徳かもしれないけれど、それを蹴散らす勢いで意見をはっきりと口にし、「NO」を突きつけ、周りに流されてきた自分に鞭うって一人で行動を決める覚悟はあるか。

人生の手綱を自分で奪い返す強さはあるか。ないなら今から自らを強く叩きあげ、育てる覚悟はあるか。その過程は楽じゃないだろう。

さいごに

最後に、私はパートナービザについて物申しているわけではない。「国際恋愛して結婚」という聞こえのいい言葉に隠された不都合な事実をあからさまに書いたらこうなった。ぞっとするだろう。それぐらいでちょうどいいと思っている。

何も知らずに進むのと、これらを知ったうえで選ぶパートナービザでは進む道が全く違うだろう。正しい情報は、あればあるほどいい。

私は、腹をくくった人、覚悟を決めた人が好きだ。せっかくこの国までくる行動力があるのだから。あなたは能無しじゃない。しっかり頭を働かせて、目をそむけたくなるような現実も見つめたうえで、目標に向かって爆走してほしい。

応援しているよ。

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